
「42 Tokyoの評判は悪い?」「42 Tokyoの就職率や就職先は?」
などと疑問に思っている人は、ぜひ本記事に目を通してほしい。
42 Tokyoは、2020年に設立されたITエンジニアの養成機関だ。この2年間で入学者数も増えたとはいえ、まだまだ世間に認知されたとは言い難い。
また、42 Tokyoは(営利法人ではなく)社団法人であり、広告宣伝に多くの費用をかけられない事情もある。Piscineと呼ばれる入学試験の噂もあいまって、どこか謎めいたイメージを持たれがちだ。
そこで本記事では、42 Tokyoの良い評判・悪い評判を調査した。レビューサイトなどに掲載されている口コミについて、実際に在籍している私が正直に答えていく。
42 Tokyoに少しでも魅力を感じたなら、以下のボタンから入学試験「Piscine」に挑戦してほしい。
目次
42 Tokyoの良い評判・口コミ
まずは42 Tokyoの良い評判から見ていこう。主な意見は以下の通り。
- 学費無料・校舎は24時間使い放題
- コンピューター・サイエンスを基礎から学べる
- 能力の高い学生が多く集まっている
- 問題解決能力が鍛えられる
いずれも一般的なプログラミング・スクールとは異なる点だ。以下で順番に解説していこう。
学費無料・校舎が24時間使い放題
完全無料であの完璧な設備なので、コスパどころの話ではない。かかったのは試験日に現地に行く交通費くらい。
42 Tokyoに在籍するにあたって、学費の類は一切かからない。入学金や事務手数料、施設利用費もすべて無料だ。
校舎は東京・六本木グランドタワーの23階にあり、24時間いつでも利用可能。フロアには約300台のiMacが設置されており、申し分ない環境で学習を進められる。
その他、スポンサー企業から提供された電子レンジやウォーターサーバー、学生のクラウドファンディングで購入されたパワーラックなど、ファシリティは徐々に拡張されている。
こうした教育が無償で提供されているのも、42 Tokyoが社会貢献を目的とした機関であればこそ。たとえ経済的な事情で大学に通えなくても、42 Tokyoなら充実した日々を過ごせる。
プログラミングを基礎から学べる
42 Tokyoは低レイヤーからプログラミングの下積みを身につけ、高レイヤーの課題を解くことが可能になります。なので他のスクールよりもプログラミングに対する理解度は飛躍的に高いと感じています。
「低レイヤー」とは、CPUやOS、メモリなどハードウェアに近い領域のことを指す。
エンジニアとして働く上で、低レイヤーの知識は必ずしも必要ではない。実際のプログラミングでは、ライブラリなどを用いて下層レイヤーの技術を抽象化することが多いからだ。
それでは、なぜ42 Tokyoのカリキュラムは低レイヤーを重視しているのだろうか? それは自らが立脚する足場を知り、それを疑うことで、高度なソフトウェア設計が可能になるからだと思う。
たとえば、42 Tokyo入学して最初のレベルでは、C言語の標準ライブラリを実装することになる。当たり前のように使われている関数が、一体どのような仕組みで動いているのか。メモリ管理やエラーハンドリングを学びながら模倣するのである。
現在使われている多くのソフトウェアは、幾層にも重なった技術の上に成り立っている。低レイヤーの知識を身につけておけば、不具合の原因追究や処理の高速化が容易になるというわけだ。
優秀な学生が多く集まっている
元々の技術ではなく、物凄く頭の良い人かコミュニケーションがとても取れる人しか受からない為モチベーションが継続する。
42 Tokyoに入学してからというもの、出会う人の能力の高さに圧倒されてばかりだ。論理的な思考能力はもちろん、実務能力や統率力、協調性といった面で見習うことは多い。
各人の経歴も異なり、情報系の学生から現役のエンジニア、あるいは一風変わった?バックグラウンドを持つ人まで多様な学生が在籍している。
これだけ豊かな人間関係を築けるのは、42 Tokyoという教育機関の特徴である。
たとえば、大学は同年代でコミュニティを形成しがちであるし、企業は能力と志を共有する人間が集まる。積極的に行動しない限り、年齢とともに人間関係は画一化されていく。
その点、42 Tokyoは広く門戸を開いているため、文字通りの「他者」と出会うことが可能だ。
どんな物事であれ、誰かに圧倒された経験は成長の糧となる。学生だけでなく、スキルに伸び悩みを感じている社会人も、42 Tokyoに入れば新しい発見があるはずだ。
問題解決能力が鍛えられる
これを超える学校はなかなかないです。より良い手段がないかを常に考えるようになる為、問題解決力がかなり高まります。日常生活でもその解決力を活かせるため、自分は頑固な父との関係を改善させることができました。
42 Tokyoは「問題解決型学習」を取り入れている。問題解決学習(PBL:Project Based Learning)とは、学習者が自ら問題を設定し、自ら探究を進めていく手法のことだ。
創造的なエンジニアとなる上で、問題解決力が求められるのは言うまでもない。ただ設計書通りにコードを書くのではなく、ユーザーの視点に立ち、システムの改善点を見つけ出す必要がある。
特定の講師を持たない42 Tokyoでは、学生自身が主体的に動くことで問題解決力を鍛えていく。インターネットや書籍で調べるのはもちろん、他の学生に質問することも大切だ。
42のカリキュラムは一筋縄ではいかない。私自身も、一人では課題の意味さえ理解できないことが多々ある。
それでも少しずつ前に進めるのは、学生同士が能動的につながり、ともに乗り越えていく気風があるからだ。
42のシステムは非常に良く出来ている。ここで学んだスキルは、プログラミングに限らず、他の学習や仕事全般に活かせるだろう。
42 Tokyoの悪い評判・口コミ
続いて42 Tokyoの悪い評判を見ていこう。主な批判点は以下の通り。
- レビュー基準に一貫性がない
- 実践的なスキルが身につくか疑問
- 時間的余裕がないと入学が難しい
- オフラインの学生が少ない
実際に在籍している私としても、おおむね同意できる内容だ。それぞれの批判について、順番に検討していこう。
レビュー基準に一貫性がない
実務でレビューをする際にはレビュー観点を元にしてレビューを行うことで、人によってレビューの品質差が生まれ辛くするのですが、42 tokyoではそういう文化がなかったです。
「レビュー方法が人によって様々」というのは間違いない。42のコードレビューは無作為にペアが決まるため、相手によっては課題の理解が及ばない可能性がある。
一応、評価は共通のレビュー項目に沿って行われるが、双方の合意のもとで採点する都合上、エラーケースなどを見落とす可能性は否定できない。
もっとも、正確な評価を出すのが難しいというのは、42 Tokyoに限らず、ピアラーニング全般に共通する欠点だ。
私個人としては、そうしたレビューの「ガチャ的要素」も込みで学習を楽しんでいる。同じ課題でも、学生によって色々な見方があって興味深い。
コードレビューが消化不良に感じたら、合格した課題を再提出したって構わないのだ。主体性が求められるのは、レビュワー(評価する人)ではなくレビュイー(提出を受ける人)の側である。
実践的なスキルが身につくか疑問
Piscineや42Tokyo本科を経験し、エンジニアとして社会に出て自走できる人にはなれないと思いました。なぜなら、上司部下の関係ではないので仲の良い人同士でいくらでも助け合えます。
もちろん、42 Tokyoで実践的な能力のすべてが身につくわけではない。上司や部下のように張り詰めた関係性は、やはり現場でしか構築できないものだ。
所詮42 Tokyoは教育機関なので、アルバイトやインターンを経験した方が実務の成長スピードは早い。
しかし、プログラミング未経験者やスキルに伸び悩んでいる経験者が、自走する弾みをつけるためには動因が必要である。そして42 Tokyoの問題解決型学習は、動機づけを行うために最も効果的な方法だ。
ちなみに、苦言を呈するわけではないが、「仲の良い」味方を作るのもエンジニア(というより仕事全般)に必要な能力である。
時間的余裕がないと入学できない
フルタイムで働く社会人がPiscineと仕事を両立できるか?
という質問の答えですが、私は無理だと思います。少なくとも、無理を通そうとしていることを承知でやるくらいでないと話にもならないと思います。
公式FAQに書かれている通り、Piscineはフルコミットが前提となっている。働きながらの参加も不可能ではないが、口コミの通り合格は相当難しいだろう。
私がPiscineを受けたときも、周囲の社会人はほとんど休職や退職をした上で参加していた。働きながら合格を掴んだ人もいたが、それも時間に都合のつく個人事業主が多かったように思う。
バカンスの文化がある欧州とは違って、日本社会で1ヶ月の休みを取るのは簡単ではない。いったん会社を離れてしまうと、社会の枠組みからも外れることになる。
こればかりは、リスクを推し量った上で挑戦するしかない。幸い今日ではリカレント教育が認知されつつあり、企業の理解も比較的得やすい状況にある。
オフラインの学生が少ない
老害っぽい発言かもしれないですが、やはりその場に集まってみんなでわいわいやる方がモチベーション高く進められると思います。また、42 tokyo独特の"空気感"はオフラインでないと出せないと思っています。
これは口コミの通りで、「空気感」が損なわれた事実は否めない。オンライン環境の整備によって、オフラインの活気は失われてしまった。
記事を執筆している時点では、平日の校舎にいる在校生は多くて20人程度。本来300以上ある座席も、Piscineが開催されていない限りは閑散としている。
コロナ禍で多くの人が実感したように、場の持つ力は非常に大きい。42 Tokyoが学習――それも協働学習――の場であるならなおさらだ。
とはいえ、オンライン上のコミュニティは盛況で、情報交換や雑談が活発に行われている。学生数が増加すれば、オフラインも一層の賑わいを見せるだろう。
42 Tokyoの就職先は?メルカリなど大手IT企業も
42 Tokyoの就職実績は、以下の通り発表されている(オンライン説明会より)。
メルカリなどの大手企業に就職した学生もいるが、詳しい内訳は不明である(個人的に聞き及んでいる情報も、当然ここで書くことはできない)。
そもそもの前提として、42 Tokyoは企業への就職をゴールとはしていない。42の運営理念は「すべての人に挑戦する機会を与える」ことである。
したがって、学生の目的は就職でなくても、たとえば起業や独立であっても構わない。極端な話、趣味としてプログラミングを学ぶのも大歓迎だ。
とはいえ、多くの学生は42 Tokyoで身につけたスキルを活かし、IT企業への就職や転職を希望している。
そこで2021年11月には「Road to」と呼ばれる新カリキュラムが立ち上げられ、在校生の就職がサポートされることになった。Road toは、特別に与えられた課題を解くことで、賛同企業の選考過程を通過できる仕組みである。
Road toを踏まえた就職実績については、今後プレスリリースなどを通じて発表されると思われる。
42 Tokyoはどんな人に向いているのか?
ここまで見てきた評判から分かる通り、42 Tokyoはやや癖の強いスクールだ。無料でプログラミングが学べるといっても、すべての人が42の教育内容に満足できるわけではない。
そこで以下の項目では、42 Tokyoの適性について述べてみたい。
とはいえ結局のところ、あらゆる適性は4週間の入学試験「Piscine」を通して確かめられる。以下の記事ではPiscineの仕組みを詳しく解説しているので、受験する前にぜひ読んでみてほしい。
42 Tokyoに通うべき人
以下に当てはまる場合は、42 Tokyoへの入学をおすすめしたい。
- 大学には行かずにITエンジニアを目指したい
- プログラミングに対する情熱と十分な時間がある
- コンピューター・サイエンスの基礎を固めたい
- お金はないが、とにかくスキルを身につけたい
- エンジニアとしてステップアップを目指したい
42 Tokyoは公的に認可を受けた学校ではないが、教育の質は非常に高い。カリキュラムを順当に進めることで、CSの学士~修士相当の知識が身につけられる。
他の学習環境を探すべき人
一方、以下に当てはまる場合、42 Tokyoの環境は適さない恐れがある。
- 数ヶ月以内に就職・転職したい
- 習得したいスキルが明確である
- 正式な大学で学位を取得したい
- まとまった時間が確保できない
- 人とのコミュニケーションが嫌い
42 Tokyoには明確な「卒業」の概念がない。いつスクールを辞めるのも自由だが、第一段階のカリキュラムを終えるためには1~2年を要する。
一般的なプログラミング・スクールの学習期間はおおよそ1~6ヶ月なので、転職を急いでいるなら他のスクールを選ぶべきだろう。
また、42にはブラックホールと呼ばれる除籍制度があり、課題の提出が滞ると強制的に退学となる。個人差はあるが、週20~30時間は学習に充てられる状況が好ましい。
42 Tokyo以外の選択肢は?無料ならCODEGYMがおすすめ
何も42 Tokyoだけがプログラミング学習の場ではない。たとえば42 Tokyoの母体であるDMM.comは、「DMM WEBCAMP」と呼ばれる有料のプログラミング・スクールを運営している。
42 Tokyoと違って、DMM WEBCAMPでは短期間(1~4ヶ月)のカリキュラムで即戦力となることを目指す。現役エンジニアである講師のもと、PythonやJava、Webデザインといったコースを受講可能だ。
また、学生なら「CODEGYM Academy」という選択肢もある。
CODEGYM Academyはコロナ禍の学生支援を目的としたスクールで、2021・2022年度と開催を重ねてきた。社会貢献を目的に運営されている点は、42 Tokyoとまったく同じである。
ただし、CODEGYM Academyではメイン教材としてハーバード大学の基礎講座「CS50」を利用する。C言語のほかPython、JavaScriptなど、広範囲のスキルを1年で学ぶカリキュラムだ。
CODEGYMは有料のエンジニア転職コースを提供しており、42 Tokyoとは比べものにならないほどサポート体制が充実している。プログラミング未経験の学生も、ここなら安心して就職を目指せるだろう。
42 Tokyoの適性はPiscineで見極めよう
(引用:42 Tokyo公式サイト)
今回は42 Tokyoの評判を紹介してきた。
結論として、あなたが今すぐ仕事を得たいと考えているなら、就職先の斡旋があるスクールに通うべきだろう。学びたい技術が明確で、メンターから直接の手ほどきを受けたい場合も、有料のスクールに通ったほうが良い。
その一方で、あなたが時間をかけてフルスタックの技術を身につけたいなら、42 Tokyoは至高の環境となる。講師から一方的に教わるスタイルが苦手な人も、42 Tokyoのピアラーニングなら馴染める可能性が高い。
42 Tokyoの特異な教育法と自由な雰囲気は、他のスクールにはけっして見られない特徴だ。もし自分に向いているかどうか判断に迷っているなら、とりあえず試験に挑んでみてはどうだろうか。
4週間の入学試験「Piscine」は、性別や経歴、国籍を問わず無料で受験できる。適性を見極めるのは、それからでも遅くない。